留置所に留置されている期間に行われる取り調べには、警察署で行われる刑事調べと、検察庁で行われる検事調べがあります。
目次
刑事調べの流れと中身
勾留期間中のメインイベントでもある取り調べです。
留置所から取調室へ
警察署内で行われる取り調べです。刑事ドラマでの取り調べのほとんどはこの取り調べのことです。警察内では「調べ」と略されて呼ばれます。事件の担当捜査官が留置所へ呼びに来ます。呼びに来る刑事は2人以上が原則。
手錠と紐をつけ、取調室へ移動します。取調室で手錠を外し、手錠と紐を椅子に装着して取り調べは始まります。
取り調べの内容
基本的に取り調べは刑事1人で行われます。1人が質問し、その人が同時にPCに供述調書を打ち込み印刷します。質問しながらPCにカタカタ打ち込むので時間がめちゃくちゃかかります。。
刑事ドラマのように複数人刑事が取調室に常駐してることは稀です。凶悪犯罪だとそうなのかも。たまに別の刑事が入ってきて質問してきたりというのはあります。
被疑者はPCに打ち込まれ印刷された供述調書を読み聞かせられ、文章を確認し問題なければ調書に指印を押すという流れになります。調書が間違っていれば訂正を申し入れることができますし、納得できなければ指印は拒否できます。
取り調べで質問されること
やったのか、やらなかったのかをひたすら詰問されるのが取り調べ、というイメージが世間ではあるようですが、実際は違います。
そもそも否認事件は多くなく、ほとんどの被疑者は罪を認めてるので淡々と聞かれ、淡々と答え、飽きたら刑事と雑談する、というのが現実です。
認否や動機以外のことも淡々と聞かれます。どういう人生を歩んできて、普段は何をしていて、事件現場にはこういう理由で行って、こういう理由で犯行を思いついて、実際こうしました、というように背景を含め事件の全体像を供述するというのが基本になります。
取り調べ中の食べ物やタバコについて
取り調べ中に刑事が食事やタバコを与えるのは利益誘導にあたるため禁止されています。昔はタバコを吸わせてあげるために被疑者を取り調べに出すとか、質問することはないけど、被疑者の気分転換のために取り調べに呼んであげるといった事も行われていました。現在はルール管理が厳しくできないようです。
検事調べの流れと中身
世間的にあまりしられていないのが検事による取り調べ、通称検事調べです。
検事はどんな人でどんな権限があるか
検事は検察庁に居る司法試験をクリアしている役人で、警察官ではありません。検事は事件を起訴するかどうかを判断します。起訴されれば日本では99.9%有罪になるため、検事は事実上、被疑者の無罪有罪を決める役割になります。
ドラマでは木村拓哉主演のHERO、映画では二宮和也主演の検察側の罪人、アニメでは名探偵コナン ゼロの執行人など、検察を扱う作品も増えていますが、検察という組織の世間的認知はまだまだ低いと思われます。
検事調べの内容
被疑者が検察庁へ出向き(正確には護送され)検事が取り調べします。ただの確認で調書なしの数分で終わることもありますし、検事がゴリゴリに質問して調書を作成することもあります。検事の性格にもよるし、警察と検事が上手くいっておらず警察の聴取に納得できない場合は、検事自らゴリゴリに取調べする、なんてことあります。
検事の捜査指示
検事は警察の捜査情報や供述調書を閲覧しますが、起訴するかどうか(=実質的に有罪にするか無罪にするかに等しい)を判断するために必要な証拠や供述を取得するよう警察に指示します。
刑事によると、案外検事からの指示は多いらしいです。刑事の取り調べも後半になると検事の意図に従って警察が動いてるのが分かるようになりますし、現場の刑事も「この供述がなぜ必要か分かないけど検察が要るって言ってるから取ってる…」とか漏らしたりします。
私も起訴が近づくと取り調べは減っていきました。特に聞くことは聞いたので待っててくれ的なステータスです。しかし起訴の直前になり、慌ただしく取調室に呼ばれることがありました。刑事に理由を聞くと「検事がこれが供述証拠として必要だから調書を作ってくれと言ってきて…」と急な検事の依頼による取り調べ、とのことでした。「検事の指示は絶対だからな…」と嫌々そうにしてたことを思い出します。。